■親権が決まる基準
子どもの親権については、まずは交渉や調停の場で、父親と母親で話し合うことになります。しかし、話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所が審判をすることになります。
家庭裁判所が審判をする基準は「子どもの幸せ」かという観点です。具体的には、個別具体的な事案によりますが、概ね以下の事情が考慮される傾向にあります。
・親の事情
これまでの子育て実績
健康状態
経済的余裕があるか
居住環境
親類の援助を受けられるか
面会交流に積極的か
現在子どもと同居しているか
子育てに充分な時間を充てられるか
・子ども側の事情
子どもの意思
子どもの年齢
性別・兄弟姉妹の構成
■母親側が親権を獲得するには
一般論でいえば、離婚全体の8割超において、母親が親権を取得しています。
しかし、その背景にあるのは、離婚時点において子どもと母親が同居しているケースや、母親が子育ての中心となっているケースが多いからでしょう。
とりわけ、10歳未満の子どもの場合、母親が有利になる可能性が高いと言われています。
母親側が親権を獲得するためには、普段から子育てをしていること、別居後も子育てをしていることが重要になります。
また、経済的余裕がない場合には、実家の援助を受けられる環境が用意できるとよりよいでしょう。
ただし、母親だからといって油断は禁物です。
たとえば、子どもが15歳以上の場合には、子どもの選択が尊重されることになります。
また、子どもを味方につけようとして父親の悪口をいってしまうと不利になるおそれがあります。
また、子どもを困らせてしまう質問をしたり、面会交流を制限するような発言をすると、不利になる可能性もあります。
そのため、弁護士に相談をすることで、有利に進められるようにアドバイスを受けておくとよいでしょう。
■父親側が親権を獲得するには
一般的には父親側が親権を取得するのは難しいとも言われています。
しかし、一概に男性だからといって親権が取得できないわけではありません。
特に、現実に父親が子育てをメインでしている場合や、子どもが母親と一緒にいたくないという強い意志を有している場合には、父親を親権者と定めることもあります。
ですから、父親であるからといって諦めず、子育てを続けることが大切になります。
■離婚後に親権者を変更する方法
離婚後であっても、家庭裁判所に対して親権者変更調停を申し立てることで、親権者の変更ができる可能性があります。
ここでも、上記のような判断基準により、「子どもの幸せ」の観点から、変更すべきかどうかが判断されることになります。
ただし、これまでの子育て実績がある親権者が有利であることは否定できません。
それ以外の事情をしっかり主張・立証できるように、弁護士のアドバイスを受けることが肝心です。