不倫で慰謝料を請求する際に有利になる証拠とは?証拠のポイントや注意点を弁護士が解説

夫や妻(配偶者)に不倫されてしまった場合、どうしたらよいでしょうか。今回は慰謝料を請求する上での証拠集めのポイントについて、弁護士の視点で解説していきます。

不倫の慰謝料は誰に請求できる?

こちらの記事で詳しく解説していますが、配偶者が不貞が離婚の原因となる場合、慰謝料請求の対象は配偶者だけでなく不貞相手も対象となります。不貞相手については、配偶者としての正当な権利を侵害したものとして、不法行為に基づく慰謝料を請求対象となるのです。

したがって、配偶者が不貞行為を行った場合には、配偶者に対する離婚手続きと並行して、あるいは離婚を請求することなく、不貞相手に対する慰謝料を請求することができます。

不倫をされてしまったら 慰謝料は誰にいくら請求できる?

不倫の慰謝料請求に必要な証拠の基本

では、具体的にどのようなものが証拠として有効になるのでしょうか。主に次に挙げるものが、不倫の証拠になり得るので、それぞれ解説します。

①メールやSNSなどのやり取り

待ち合わせやデートの約束など、配偶者と不倫相手とのやり取りがあれば、写真などで残しておきましょう。メールやSNSのDM機能などが連絡手段として考えられます。

②写真や映像など

配偶者と不倫相手の親密な様子がわかるツーショットや、デートや食事中の写真などは二人の関係性を裏付ける重要な証拠となる場合があります。

自宅やホテルから出てくるところの写真があれば強力な証拠となりますが、直接のものがなくても、SNSなどのやり取りが証拠になることもあります。

③録音データ

配偶者が不倫を自白したのであれば、その時の発言を録音しておくと良いです。一度自白したとしても、裁判が進む中で発言を撤回されてしまうこともあるため、配偶者本人の発言として録音が残っていると証拠として有効です。

すでに別居しているケースでは、電話の録音やテレビ電話の録画、メッセージのスクリーンショットなどを残しておきましょう。

④クレジットカードの利用明細やレシート、領収書

不倫で利用したであろうホテルやレストランなどの利用明細は、証拠となり得る場合があります。特にただの友人とは言い難いほどに、頻繁に会っていることを証明できる場合は、証拠としての有効性が高まります。

⑤交通系ICカード、カーナナビ、GPSアプリなどの移動履歴

家と勤務先以外の駅で、頻繁に乗降している場合や、カーナビの目的地情報の履歴、GPSアプリの移動履歴などが証拠になることがあります。

特に配偶者しか運転しないケースでは、カーナビの目的地履歴が削除されていないこともあるので、確認すると良いでしょう。

⑥調査会社の報告書

探偵事務所や調査会社による不倫調査の結果報告書は、裁判で有効になるポイントを踏まえてプロが調査してまとめた書類ですので、有効な証拠として認められやすいです。

証拠の中でも有効性の高い証拠とは?

不貞行為の証拠において有効性が高いのは、「肉体関係があることを裏付ける証拠」です。メッセージの履歴であれば、「またエッチしようね」とか「あなたとのセックスが忘れられない」とか性行為について言及しているやり取りは有効性が高いです。

写真や動画については、性行為の様子を撮影したものはもちろんですが、ホテルの部屋でのツーショットや、ホテルに入る様子、路上でキスをしている瞬間なども有効な証拠となり得ます。

近年、ドライブレコーダーを搭載した車両が増えていますが、車内の映像や音声を記録する機種もあります。不倫で自家用車を使っている場合、「早くエッチしたいね」、「今日もいっぱい(セックス)しちゃったね」など、肉体関係があったことがわかる会話が残っていることがあります。また、車で性行為に及んでいる場合、行為そのものが録画されていることもあります。

証拠を集める際に注意すべきこと

相手に不貞行為があった場合でも、違法性が疑われる方法で集められた証拠(違法収集証拠)は、証拠としては認められません。証拠として認められないばかりか、逆に相手方から違法行為を訴えられてしまうこともあります。

盗聴や盗撮、不法侵入によって入手した証拠、違法なアプリやハッキングなどで取得したメッセージや位置情報、写真データなどは証拠としては使えません。

また、相手に自白させる際に脅迫行為があった場合も、証拠として認められなかったり、脅迫罪に問われる可能性があります。

不倫の証拠集めは弁護士に相談を

ここまで解説してきた通り、不倫の証拠には裁判で有効性が認められるためのポイントがあり、その集め方によってはご自身が訴えられてしまうこともあり、注意が必要です。

「これって証拠になるのかな?」とか「この方法で入手した証拠は有効?」など、ご自身では判断に迷ってしまうケースもあるかと思います。

また、そもそも証拠がなくて慰謝料を請求できるかどうか悩んでいる方もいるかと思います。証拠がなかったとしても、裁判を行わずに双方の話し合いで解決する方法もあります。不貞行為を行っている場合、相手方も早く穏便に済ませたいという心理状態にあることが考えられますので、話し合いの進め方次第で、有利に交渉を進めることもできます。

証拠があろうとなかろうと、信頼していた配偶者に不倫されたことで、ショックを受けたり相当な心理的負担を強いられたことと思います。あなたが受けた悲しみや怒りと相手の行為の代償として、あなたが受け取るべき慰謝料を相手方に支払わせるために、私たち弁護士が力になれることがあります。

弁護士に相談する際は、多くの離婚事案を扱い、知見と経験のある弁護士を選ぶとよいです。事務所のホームページなどを確認し、離婚事案の経験があるかどうかを確認しましょう。

法律事務所Zには、離婚問題の豊富な解決実績のある離婚弁護士が所属しており、離婚を進める上で必要なアドバイスとサポートを提供いたします。あなたが受け取るべきお金について、適切な金額で受け取るために、当事務所に相談してください。

伊藤建 弁護士、法務博士(専門職)、大阪大学大学院高等司法研究科非常勤講師、広島大学法科大学院客員准教授、関西大学法科大学院非常勤講師。内閣府、消費者庁を経て、琵琶湖大橋法律事務所開業後、資格試験プラットフォームを運営する株式会社BEXAを創業。日本海ガス株式会社入社を経て、法律事務所Zを創立。多数の一般民事事件に従事したほか、初の受任事件で無罪を獲得し、第14回季刊刑事弁護新人賞最優秀を受賞するなど、訴訟戦略に強みを持つ。中小企業・ベンチャー企業の一般企業法務のみならず、起業家弁護士として、DX改革や新規事業創出支援、ルールメイキングも得意とする。