財産分与は減額できる?拒否と減額について弁護士が解説

 離婚についてのご相談をいただく中で、揉めてしまいがちなのが財産分与や慰謝料、養育費などお金にまつわる条件面です。今回は、支払う財産分与を少なくするためのポイントを解説します。

■財産分与とは

離婚する際に、結婚した時から婚姻関係が破綻した時までに増えた財産を、夫婦で分けることを財産分与といいます。財産分与の対象となるのは、現金・預貯金、株、生命保険・学資保険、車、不動産、退職金などです。

 

財産分与の請求は法律で認められた権利である一方で、その権利の行使については強制ではありません。つまり、夫婦双方が財産分与を行わないことに合意をしていれば、財産分与を行うことなく離婚することができます。

 

■財産分与は拒否できる?

双方が財産分与を行わないと合意している場合では、そもそも請求自体が行われないため支払いは発生しません。一方、相手方に財産分与の意志があり請求された場合では、拒否することはできません。

 

ただし、次のように条件次第では拒否することができる場合があります。

 

①特有財産である場合

財産分与は、結婚した時から婚姻関係が破綻した時までに増えた財産を夫婦で分けるというのが基本的なルールとなります。つまり、婚姻前に保有していた財産については、特有財産として財産分与の対象とはなりません。

 

婚姻前からの預貯金や、婚姻前に取得した不動産、車、株式などについても財産分与の対象として請求されている場合、支払いを拒否することができます。

 

また、婚姻後であっても親族からの贈与や相続で引き継いだ財産についても、財産分与の対象とはなりません。

 

②離婚から2年以上が経過している場合

財産分与の請求は、離婚から2年以内に行う必要があります。2年以上が経過すると請求が出来なくなるため、支払う必要はありません。この期間は専門用語で除斥期間といい、権利行使をしない限り、時効のように新興を中断させることはできません。

 

③会社の資産である場合

会社を経営しているケースで、財産分与の対象が個人の資産ではなく、会社の資産である場合、支払いを拒否できる場合があります。

 

■財産分与を減額するポイント

もちろん、財産分与を支払わなければならない場合であっても、相手方が主張する金額を減額できる場合があります。

 

正しい財産分与額を計算するためには、結婚した時と婚姻関係が破綻した時に持っている財産を双方が開示しなければなりません。相手方が実際の財産よりも少なく申告している場合、当初の請求金額よりも交渉により減額できる可能性があるのです。

 

特有財産の主張

例えば、結婚時の双方の財産が200万円ずつ、合計400万円の夫婦がいたとします。その後、婚姻関係が破綻し、その時の財産は夫が1,400万円(+1,200万円)、妻は0円(-200万円)になっていました。

 

一見すると、婚姻関係の破綻時の財産の合計である1,400万円を2人で分けることになり、夫から妻に対して700万円支払わなければならないようにも思えます。

しかし、特有財産の主張を行うことで、この金額を減らすことができます。

 

具体的には、夫の破綻時の財産の1,400万円のうち200万円は、婚姻前の財産なので特有財産となります。そうすると、結婚してから判タ薄までに増えた夫婦共有財産は1,200万円になります。財産分与で2人で分けるべきなのは、この1,200万円であると主張することで、夫から妻に対する支払を600万円にすることができます。

 

妻が財産を隠していた場合

 

また、妻側は婚姻関係が破綻したときに0円であると主張していたものの、本当は財産を画しており、調査の結果、妻に800万円の預貯金があったことが判明した場合、さらに減額することができます。

この場合、800万円のうち200万円が特有財産となりますが、残りの600万円は夫婦の共有財産ということになります。

そうすると、夫の1,200万円+妻の600万円=合計1,800万円を2人で分けることになるので、1人当たりの取り分は900万円となります。

したがって、夫が妻に渡さなければならないのは、300万円だけになるのです。

 

このように、特有財産に対する適切な主張を行うことや、相手方の財産の調査を行うことにより、分与額を大きく減額できる可能性があるのです。

 

■正しい財産の把握は弁護士に相談を

相手方に正しい財産を開示してもらうにはどうしたら良いでしょうか。弁護士を通じて財産を開示してもらう方法があります。裁判所を通じて金融機関に預貯金額の開示を求める「調査嘱託」や、弁護士会を通じて同様に金融機関に情報開示を求める「弁護士会照会」という方法です。

 

もっとも、こうした調査には時間がかかる場合もあるので、調査嘱託を行っていることを相手方に伝えつつ、調停員から説得してもらうなどして早期に情報を開示してもらえるよう進めていきます。

 

こうした方法は、弁護士に相談しないと進めることができません。弁護士に相談する際は、多くの離婚事案を扱い、知見と経験のある弁護士を選ぶと良いでしょう。事務所のホームページなどを確認し、離婚事案の経験があるかどうかを確認しましょう。

 

法律事務所Zには、離婚問題の豊富な解決実績のある離婚弁護士が所属しており、離婚を進める上で必要なアドバイスとサポートを提供いたしますので、ぜひ相談してください。