■面会交流とは?
離婚後に、親権者または監護者にならなかった方が、子どもに面会することを面会交流といいます。また、面会交流を求める権利のことを面会交流権といいます。
別居中の子どもに会う権利は当然あります。多いケースとしては、離婚の話し合いがこじれたまま妻が子どもを連れて実家へ帰ってしまっているとき、妻が夫に子どもをあわせないようにしているといった場合は、離婚成立の前後を問わず、夫は家庭裁判所に面会交流の申立をすることができます。
■面会交流をさせたくない場合
面会交流をさせたくない場合、これを拒否することは可能なのでしょうか。
原則として、面会交流を拒否することはできません。なぜなら、子どもに対する面会交流権は、親として当然にもっている権利であるため、子どもに会うことまでを拒否することはできないと考えられているからです。
しかし、面会交流をすることで子どもの幸せが害される場合には、例外的に制限をすることができます。たとえば、相手が勝手に子どもと会ったり、子どもを連れ去ろうとしたりする場合は、面会交流権の制限を家庭裁判所に申し立てることができます。
また、面会の方法によっては、子どもに動揺を与え、精神的不安を招くこともありえます。具体的な悪影響が出るような場合には、子どもがある年齢に達するまでの面接を禁止する、親権者または監護者同伴の場で会うなどの方法も考えられます。
子どもの面接の際に復縁を迫ったり、金銭の無心を言ったりするような場合には、面会交流権の濫用として、面会交流権の停止を家庭裁判所に申し立てることができます。
面会交流が認められない場合
1.非監護親(面会交流を求める親)に問題がある場合
*婚姻中に暴力をふるった
*酒乱
*面会交流のルール違反をした等
2、父母の対立が激しい場合
*子を葛藤させ、精神的不安定をにするような場合
3、子の年齢が高い場合、子の意思が尊重される
*思春期の子どもなど年齢的に非常に難しいときで、別れて暮らす親と会うことによって、その精神状態が動揺することが考えられるような場合、認められない可能性があります。
4、子どもを引き取って育てている親が再婚し、子が幼い場合
*子どもを引き取って育てている親が再婚し、子が幼い場合に、子どもとともに円満な生活が営まれ、分かれた親と会うことが子どもに逆に動揺を与えマイナスであるとの評価がされれば、面会交流が認められない可能性があります。
■面会交流権を認める場合に記載する事項
また、やむを得ず、面会交流を認める場合であっても、その条件を具体的に、詳細に決めておくことが重要です。それをしておかないと、将来の争いのもとになるようです。交渉の結果は書面にしておきましょう。
月に何回
何時間
宿泊してよいのか
場所はどうするのか
日時は誰が決めるのか
電話や手紙、電子メールのやりとりを認めるのか
誕生日などにプレゼントをできるのか
どんな合わせ方をするのか
学校行事へ参加できるのか
子供の意思をどうするのか
子供の受け渡しの方法
変更する場合はどうするのか
連絡方法はどうするのか
決まらない場合はどうすればよいか 等
■面会交流について話し合いで決めることができない場合
話し合いで決まらなければ、家庭裁判所へ子の監護に関する処分として面会交流の調停申立をします。調停が不成立であれば、手続きは移行して審判になります。面会交流の条件に納得できない場合、調停・審判を申し立てることができます。申立をする裁判所は、調停のときは相手方の住所地、審判の時は子どもの住所地の家庭裁判所です。
裁判外で面会交流を求めたにもかかわらず拒否された場合は、家庭裁判所へ面会交流の調停申立をします。調停が不成立であれば、手続きは移行して審判になります。ただし、親であれば無制限に認められるという権利ではなく、子どもの福祉を害したり、子どもの意思に反する場合は、制限される場合があります。
いったん認められた面会交流も、子供に悪影響を与えたり、子どものためにならないと認められる場合には、調停や審判によって、一時停止されたり、条件が変更されたりする場合があります。