離婚したいと思ったら 手続きやポイントを弁護士が解説

離婚をしたいけど、何を準備して進めたら良いかお困りの方も多いと思います。今回はそんな方に、離婚をする上での手順や法的なポイントについて、弁護士が解説していきます。

■離婚するための3種の手続き

離婚を成立させる手続として、「離婚協議」「離婚調停」「離婚裁判」の3種があります。

 

離婚協議は当事者同士で条件などを話し合い、離婚を成立させるという手続です。双方が同意さえすれば、裁判所を通すことなく離婚を成立させることができます。費用負担は少なく済みますが、どちらか一方が話し合いに応じなかったり、条件の折り合いがつかない場合では、離婚成立が難航することもあります。

 

離婚調停は、当事者のみでの話し合いが難しい場合に、裁判所での話し合いによって離婚を成立させる手続きです。当事者が顔を合わせずに進めることができますが、裁判費用がかかり費用負担が大きいです。どちらかが応じないと成立しない点では、離婚協議と同じと言えます。

 

離婚裁判は、裁判官に離婚について判断してもらうという手続です。話し合いは必要ないため、どちらかが応じる応じないに関係なく離婚が成立します。

 

■離婚する際に準備すべきこと

では、実際に離婚するにあたっては何を準備したらよいでしょうか。これについては、離婚協議を進める上で、話し合うポイントを整理しましょう。離婚協議で話し合う事項を挙げていきます。

 

①自分たちのこと:財産分与や慰謝料などの条件について

離婚後の生活を安定させるためにも、お金に関する条件はきちんと決めたいところです。財産分与については、結婚した時から婚姻関係が破綻した時までに増えた財産を夫婦で分けるというのが基本的なルールとなります。そのため、正しい財産分与額を計算するためには、結婚した時と婚姻関係が破綻した時に持っている双方の財産の金額や、その増減の経過を把握する必要があります。

財産分与を弁護士に相談すべき理由 分与対象とメリットを解説>>

 

不貞行為やDVなど、相手方の問題行動が離婚の原因になっている場合、慰謝料を請求することができます。この場合、相手の問題行動を立証する証拠が必要となります。証拠の内容次第で、慰謝料の金額にも影響することがあるため、証拠を集めて残しておくことが重要です。

離婚と慰謝料について弁護士が解説 もらえる条件や相場は?>>

②子供のこと:親権者や養育費、面会条件などについて

子供がいる場合、親権者や養育費、面会条件を決める必要があります。親権については、現在の法律では、父親か母親のどちらか一方の「単独親権」となっており、子供の未来を考えた上でどちらが親権者になるかを決める必要があります。

 

報道などでご存知の方も多いと思いますが、2024年3月に双方に親権を認める「共同親権」を柱とした民法の改正案が閣議決定されました。可決されれば2026年度までに運用が始まる見込みで、施行前に成立した親権についても、家庭裁判所に親権者変更の申し立てをすることで共同親権に変更できる予定です。まさに過渡期であり問題点も想定されるため、共同親権の開始を見据えて弁護士に相談すると良いでしょう。

 

親権の有無に関わらず、子供には両親と面会し、交流する権利があります。子供に暴力をふるっていたなどの、子供にとってマイナスな要因がなければ、親の事情や感情によって面会交流をさせないということはできません。頻度や、面会場所、連絡手段などのルールを具体的に決めておく必要があります。

親権はどうやって決まるの?>>

面会交流のポイント>>

③自分のこと:姓、戸籍、住居などについて

婚姻によって姓が変わっている場合、婚姻前の姓に戻ることも、婚姻後の姓をそのまま継続することもどちらも選択できます。戸籍については新しい戸籍を作るか、婚姻前の戸籍に戻すことができます。住居については、離婚後に同棲を続けるケースは少ないと思いますので、現住居を離れる場合、新しい住居を探しておく必要があります。

 

■離婚をスムーズに進めるために

離婚に向けた協議は精神的な負担も大きく費用もかかるため、できることなら早くスムーズに終わらせたいところです。話し合いで成立させるにしても、調停や裁判に進めるにしても、スムーズに進めるポイントは早期に弁護士に相談することです。

 

財産分与や慰謝料、養育費などお金に関する条件は、少しでも自分に有利に進めたいところかと思います。相手の財産を正確に把握したり、慰謝料の相場や正当性を主張するためには、過去の判例や実績に基づく専門的な知識が求められます。ご自身で調べるには限界もあり、時間や労力がかかるので、弁護士の助言を聞きながら進めるのが良いです。

 

養育費についても同様で、親権についても前述の通り法改正を控えているため、専門的な判断が求められてきます。

 

■弁護士を選ぶポイント

いざ弁護士に相談しようにも、どのような弁護士に相談したら良いか悩んでしまうと思います。以下に離婚に関して相談する際の弁護士選びのポイントを解説します。

 

①離婚事案の経験の有無

基本的なことですが、多くの離婚事案を扱い、知見と経験のある弁護士を選ぶと良いです。事務所のホームページなどを確認し、離婚事案の経験があるかどうかを確認しましょう。

 

②複数の弁護士が所属している

上記のとおり、離婚は、子どもの話やお金の話など検討事項が多いため、処理が複雑になります。そのため、複数人の弁護士がチームとして、事案を多角的な視点から検討できる体制が重要となります。

 

③弁護士が対応していること

通常の法律事務所であれば、当然のことながら、受任の際には弁護士が必ず面談をします。また、相手方との交渉も弁護士が行います。面談に弁護士ではなく、事務職員のみが出てくる場合や、交渉や手続きを事務職員が代行している可能性があります。場合によっては、スムーズに進まなかったり不利な条件で交渉が進んでしまう可能性があります

 

いかがでしたでしょうか。精神的にも金銭的にも負担の大きい離婚手続きを、少しでもスムーズにすすめるために、離婚を考え始めたら弁護士に相談してみましょう。