調停離婚って何?手順や手続きを弁護士が解説

夫婦間で離婚の意思の合致が得られない場合や、離婚意思の合致はあっても慰謝料や財産分与、子供の親権などの離婚条件について、夫婦間の話し合いでまとめることができない場合に、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てて、離婚することを調停離婚と言います。今回は調停離婚について解説します。

 

■訴訟の前に調停で解決を

離婚トラブルにおいては、プライベートな問題を多く含むため、原則として裁判や訴訟で解決するのではなく、まず調停で解決することが義務づけられています。これを調停前置主義といいます。

 

調停離婚では、調停委員に夫婦間の調整をしてもらいながら、離婚に関するあらゆる問題について同時に話し合いを行い、解決に向けてすすめていきます。しかし調停離婚でも、最終的に夫婦間の合意が得られなければ離婚はできません。

 

■調停離婚の手順

調停離婚は次の手順で進めていきます。それぞれについて説明します。

1)家庭裁判所への申し立て

2)呼出状の配布

3)第1回目調停

4)第2回目調停~最終調停

5)調停調書の提出

 

1)家庭裁判所への申し立て

申し立ては、夫婦のどちらか一方のみで行うことができます。管轄の家庭裁判所に夫婦関係調整調停の申立書を提出します。裁判所に納める印紙代や切手代といった費用がかかります。。申立書の書式は、裁判所のホームページでも公開されていますし、複写式のひな形を裁判所でもらうこともできます。

調停申立書は簡単に記載できますが、親権者や、養育費、財産分与、慰謝料の金額の記入欄があり、希望金額の記載が必要です(金額が申立時点で具体的に計算できない場合は、「相当額」の請求を行うことになります)。調停では、この申立書の金額を基に、離婚条件の調整を行ないます。金額の見当がつかない場合は、事前に弁護士に相談するなどして相場を理解しておいたほうがよいでしょう。

 

2)呼出状の配布

申し立てが受理されると、1~2週間後に家庭裁判所から第1回目の調停期日が記載された呼出状が、当事者双方に郵送されます。調停期日にどうしても出頭できない場合は調停期日の数日前までに期日変更申請書を家庭裁判所に提出する必要があります。特別な理由なく欠席した場合、5万円以下の過料となります。

 

3)第1回目調停

調停には必ず当事者本人が出席しなければなりません。弁護士を代理人として出頭させることができますが、本人と弁護士が同時に出頭することが原則です。どうしても本人が出頭できない場合には、弁護士のみの出頭も認められます。離婚調停を成立させる場合、本人の出頭が必要となります。また、離婚の条件の話合いにおいて、ご出頭頂きその場で協議をした方が早期の解決が実現できます。そのため、やむを得ない事情がない限り調停には出頭するようにしてください。もし、弁護士に調停対応を丸投げしたい場合は、事前に、どのような協議を望むのか入念に弁護士と打合せを行いましょう。

 

1回目の調停では、調停委員から、当事者双方を同席させて、調停の意味や手続きについて説明を受けます。対面が原則ですが、DFがある場合など、当事者双方の関係性が悪化している場合には、双方同席ではなく個別の説明となる場合もあります。この点も、弁護士に依頼しておけば事前に裁判所に、個別の説明を望むことを伝えることができます。
その後、調停委員が交互に当事者から事情を聞いていきます。1回にかかる調停時間は、おおよそ2~3時間です。その間、夫婦それぞれからのヒアリングを30分程度ずつ、調停委員と話し合いを数回繰り返します。

 

調停の意味や手続きの説明、調停が成立する際には、原則当事者双方が同席しますが、それ以外は、当事者は顔を合わせることなく、別々に調停委員と話し合いをすることができます。

 

4)第2回目調停~最終調停

調停は2回目、3回目と約1ヶ月間隔で行われ、半年程度で終了する事案が多いです。調停が成立する際には、必ず当事者本人の出頭が必要で、弁護士等による代理人のみの出頭は認められません。
なお、どうしても出頭できない当事者の場合、調停に代わる審判という手続をとることで、離婚を成立させることもできます。詳しくは、弁護士にご相談ください。

 

5)調停調書の提出

数回の調停を経て、当事者間で合意に達すると調停調書が作成されます。調停調書には離婚することに合意したこと、親権やお金に関する事項が記載されます。調停調書が作成された後には、不服を申し立てることや調停調書を取り下げることはできません。作成する際には、納得できるまで説明を受けましょう。

 

離婚届の提出

調停調書作成したら、作成日を含めて10日以内に調停を申し立てた側が、調停調書の謄本、戸籍謄本を添えて、離婚届の提出が必要となります。調停離婚に基づいて離婚届を提出する場合、調停を申し立てた側の署名捺印があれば、離婚届を提出することができます。
相手方が離婚届を提出したい場合は、調書にその旨を記載する必要があります。

 

離婚届は、申立人の所在地または夫婦の本籍地の市区町村役場へ提出します。届出期間が過ぎた場合でも離婚は無効になりませんが、5万円以下の過料となるので注意が必要です。

 

■離婚条件は弁護士に相談を

財産分与や慰謝料、養育費などお金に関する条件は、少しでも自分に有利に進めたいところかと思います。

 

相手の財産を正確に把握したり、慰謝料の相場や正当性を主張するためには、過去の判例や実績に基づく専門的な知識が求められます。ご自身で調べるには限界もあり、時間や労力がかかるので、弁護士の助言を聞きながら進めることをお勧めします。

 

基本的なことですが、弁護士に相談する際は多くの離婚事案を扱い、知見と経験のある弁護士を選ぶとよいです。事務所のホームページなどを確認し、離婚事案の経験があるかどうかを確認しましょう。法律事務所Zには、離婚事案の経験のある弁護士が多数所属しておりますので、お気軽にご相談ください。